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最終更新
2018年5月15日 (火)

 

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声がれの原因となる病気上咽頭炎声帯ポリープ声帯結節声帯嚢胞喉頭がん
反回神経麻痺声帯萎縮声の高齢化

声がれの原因となる病気

呼気(吐く息)の力で声帯を振動させることで喉頭原音(声のもと)が作られ、喉頭原音が声帯から唇までの声道(声の通り道)の共鳴により修飾され、声が産生されます。
この仕組みのいずれかに支障をきたすと声がれ、声のかすれや声が出ない、声が出にくい、あるいは発声中、歌唱中ののどの違和感や痛みといった音声障害(声の病気)が発症します。

上咽頭炎

上咽頭は上の図の赤く囲んだ部分で鼻の後方に位置し、微生物や有害物質の侵入を防御する部位のひとつです。急性上咽頭炎は感冒などの上気道炎や咽喉頭炎に急性炎症として合併し、局所の疼痛や灼熱感として自覚しますが、慢性化すると長期にわたる咳嗽や咽喉頭異常感などいわゆる不定愁訴の原因となります。 治療は塩化亜鉛(粘膜収斂剤:タンパク質を変性させ組織や血管を収縮させる)を塗布する【Bスポット療法】を行います。

院長は本疾患による嗄声(声がれ)、発声困難(声が出ない、声が出にくい)、共鳴障害(声が響かない)、のどの異常感、痰がからむ、声が続かない、声が裏返る、咽頭痛、咽頭乾燥感、咳、音程不安定といった症状に対し【Bスポット療法】を施行し、78%の改善率を示したことを原著論文で報告しました(音声言語医学,58(4):333-338, 2017)。
上咽頭炎が自律神経機能との関連性を有することから、その病態は自律神経障害による喉頭潤滑障害(粘液分泌低下により高速振動する声帯が潤っていない状態)と上咽頭そのものの腫れや粘度の高い分泌物の付着による共鳴障害と考察しています。
自律神経とは心臓、胃腸、体温調節など本人の意思と無関係に生命活動を支える神経系をいいます。

本疾患は耳鼻咽喉科の教科書に記載がなく、ほとんどの耳鼻咽喉科医にその概念がない上に、所見がとぼしいことも多々あり、診断が極めて困難な疾患の一つとなっています。
しかしながら、本疾患が疑われる症例は日常診療の上で最も多く、当クリニックでは診療上重視している疾患です。思い当たる症状のある方はご相談ください。

声帯ポリープ

声帯に生じる炎症性の腫瘤(こぶ)で、通常片側に発生します。
一過性の声の乱用が原因で、急激な発声が誘因となり、声帯粘膜の血管が破れて血液が流出し固まり、ポリープを形成するという説が有力とされます。
自然治癒の場合もありますが、改善しない場合はラリンゴマイクロサージェリー(喉頭顕微鏡下手術)となります。当院では慶応大学日吉キャンパスにある【日吉メディカルクリニック】 でラリンゴマイクロサージェリーをうけていただきます。日帰り手術ですので時間的、経済的な負担が軽減されます。術後の経過観察まで責任を持って一貫治療を行っています。

声帯結節

声帯に生じる炎症性の腫瘤(こぶ)で、通常は両側に発生します。
発声時の声帯粘膜の慢性的な機械的摩擦による粘膜上皮の肥厚と直下の炎症性浮腫(むくみ)で“ペンだこ”に例えられます。
音声を日常的に酷使している職業、すなわち歌手、教師、アナウンサーなどに好発し、女性に多く、子どもの場合は、よく声を使う活発な低学年の児童に好発し、男子に多くみられます。
保存的な治療で改善しない場合はラリンゴマイクロサージェリーが行われます。
院長は声帯結節に対する各治療法の有効性の比較を原著論文で報告しています(音声言語医学49(3):149-154,2008)。

声帯嚢胞

声帯にできる嚢胞(袋状の病変)です。
組織学的には類表皮嚢胞(上皮が迷入したもの)と貯留嚢胞(喉頭腺の粘液が貯留したもの)に分類されます。
院長は声帯嚢胞と音声酷使との関連性と組織学的分類による臨床像の相違を原著論文で報告しています(音声言語医学51(4):311-317,2010)。
自然治癒の場合もありますが、通常ラリンゴマイクロサージェリーが必要です。

喉頭がん

喉頭に発生するがんで、飲酒や喫煙が喉頭癌の発生と密接に関連しています。
初期の癌では内視鏡手術や放射線療法を行いますが、進行癌では外切開による手術療法を行います。全摘出術を行うと一生自分の声を失うことになりますので早期診断が極めて重要です。
すみやかに適切な施設をご紹介いたします。

反回神経麻痺

声帯を動かす神経が何らかの原因で麻痺した状態で、発声時に2本の声帯が真ん中であわさらず呼気が漏れて十分な振動が起きないため声がれがおこります。物を飲み込む時には誤嚥の可能性があり、両側が麻痺すると呼吸困難が出現します。
反回神経は大脳より発し、心臓レベルまで下降し、食道・気管周囲を上行し喉頭に入ります。よって原因疾患として脳腫瘍、甲状腺癌、食道癌、気管癌、肺癌、大動脈瘤など重篤な疾患による場合があり、原因疾患の検索と治療を優先し適切な施設をご紹介いたします。
当クリニックでは反回神経麻痺症例に対し外来で受けていただける声帯内ヒアルロン酸注入術を施行しています。この手術は院長が本邦で初めて施行した術式で、原著論文で報告しています(喉頭,20(2):133-137,2008)。
入院による外切開手術が必要な場合は適切な施設をご紹介いたします。

声帯萎縮

声帯が萎縮して容積が減少し、発声時に2本の声帯間に隙間が残り、吐く息が漏れて十分な振動が起きないため声がれがおこります。特に男性の高齢化で起きやすいとされています。
当院では本疾患に対し外来で受けていただける声帯内ヒアルロン酸注入術を施行しています。

声の高齢化

声の生成に関連する呼気(吐く息)、声帯、声道(声帯から唇まで)全てにおいて加齢変化がおきます。
呼気は呼吸筋力、肺組織の弾性収縮力の低下により弱まり、発声持続時間や声の大きさに影響します。
声帯は男性では萎縮し細くなり、女性では浮腫(むくみ)により太くなります。男性は男性ホルモン、女性は女性ホルモンの低下によるもので、男性の声は高く、女性の声は低くなることが多いとされます。声帯を潤す粘液の分泌は低下し声帯振動に影響します。
声道に関連する口の開閉、舌、唇の動きの衰えにより言葉の不明瞭化、歯切れのよさの低下などがおきます。
全ての運動系のトレーニングと同様に普段から会話し歌うことがこれらの防止につながることが証明されています。
当クリニックでは言語聴覚士による声の衛生指導や発声訓練を行います。
声帯萎縮による改善不良の場合は声帯内ヒアルロン酸注入術を施行しています。